- 157 :ヒツジのあぶり肉(前)01/34 :03/06/06 23:56 ID:3D0PBYHz
翌朝、ビルボが目を覚ましたときには、夜明けをとうに過ぎていました。
ドワーフの姿はなく、ただ台所にあわてて朝ご飯を食べた跡だけが残っていました。
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⊆⊇ ∇ ⊆⊇ ⊆⊇
⊆⊇ /) 日>゚))< ⌒Ц
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄'| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄'|
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(三 ゚) . | 。|。 | 。|。
〜(三_,,) |_____.|._____|_____.|._____
三三  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
三三
三三
- 158 :ヒツジのあぶり肉(前)02/34 :03/06/06 23:57 ID:3D0PBYHz
ドワーフたちが自分を抜かして出かけてしまったことに、むしろビルボはほっとしましたが
その心の裏にひとすじ、少々がっかりした気持ちがないわけではなかったのです。
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| 冒険に出てみたかった・・・?バカな!しっかりしろビルボ・バギンズ!
| 竜だのなんだの、年甲斐もなくたわいもないことを考えてはいけないぞ。
\_______________________________
O
o
∧∧
(,,゚−゚) ⊆⊇
______(_,,)っ∧__ _⊆⊇__
|\ \ ⊆⊇
| \⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒ \ >゚))<
- 159 :ヒツジのあぶり肉(前)03/34 :03/06/06 23:58 ID:3D0PBYHz
洗い物を片付け、朝ご飯を作って食べると、もう明るく日のさす時間でした。ビルボは口笛も高らかに
ゆうべのことをすっかり忘れかけていたのです。しかし、ビルボが2度目の朝食にかかろうとしていたところ・・・
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
| こりゃ、ビルボ!朝早く出かけるはずなのに、こんなところで朝ごはんか! |
| まだ目が覚めとらんのだろ。暖炉の掃除もしとらんのじゃからな! |
\ /
 ̄ ̄ ̄ \|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ヘ
| \
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(#´W`) >
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\ ;;'; ;;; ;';; ;';;; ;;;/つ/ (゚ー゚;)
∪∪ ̄∪ / .〜(._っっ
|\
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| おやガンダルフ。今朝は14人分の洗いもので忙しかったんですよ。 |
| ・・・で、暖炉がどうかしたんですか? |
- 160 :ヒツジのあぶり肉(前)04/34 :03/06/06 23:59 ID:3D0PBYHz
(#´W`) 暖炉を掃除しておれば、時計の下にこの手紙があるのを見つけておったはずじゃ。
┌────────────────────────────────────────┐
│ │
│ ミ `Д´彡 トーリンとその仲間より、つつしんで忍びの者ビルボ殿に申し上げます。 │
│ あなたのおもてなしに心からのお礼を述べると共に、あなたの冒険参加の申し込みを │
│ 喜んでお受けしたいと思います。つきましては、以下の条件をご確認ください。 . |
│ │
│ (1) この冒険で得た財宝の総額がいかほどであろうとも、その14分の1をあなたの . │
│ 報酬としてお支払いする。 |
│ │
│ (2) 旅の間の経費は当方の持ち分とし、どのような事件にあっても必ずお返しする。 |
│ │
│ │
│ (3) 葬式の費用は、私たち一同あるいは代表の受け持つものとする。 │
│ ただし、それを行うような事柄が避けられない場合に限る。 │
│ │
- 161 :ヒツジのあぶり肉(前)05/34 :03/06/07 00:00 ID:htG1vmSG
│ │
│ あなたの大切なお休みを妨げるのもどうかと考えまして、私たちは必要なしたくをいたす . │
│ ために先に出かけます。本日午前11時、水の辺村の「緑竜館」にてお待ちしております。 . │
│ │
│ かく記すは、貴方の約束を守る性質を信じ、深く敬うものである。 |
│ トーリンとその仲間 草々 |
└────────────────────────────────────────┘
( ´W`) 出発まであと10分じゃ。緑竜館は1キロ半ほど先だから、今から走っていけば間に合うぞ。
で、でも・・・・・ (゚o゚;)
(#´W`) 時間がないんじゃ!急げっっ!!
- 162 :ヒツジのあぶり肉(前)06/34 :03/06/07 00:01 ID:htG1vmSG
後になって、ビルボが当時のことを振り返ってみても、彼はなぜ自分があのとき
帽子もかぶらず、杖も財布も家に置いたまま飛び出したのかわかりませんでした。
:_,,-- =-..、
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;; ,, ;;;,,, ; ` ‐- --‐'''""`''::.、..,,__ ;;,,, ;; ; __ ,... .-‐``‐ -‐‐''''"" ;; ,,; ;,
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...:::::;;:::::::::::;;;;,:::::::::::::::::::::::::,,;;;;:::::::::::;;;;:::::::: :::::;;;;;::::::: ;;:::::;::;;;;:::;;::;:::::::│ 水の辺村→ │;;;:::::::;;;
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∧∧
(_(; ゚o゚)
ε=ε= c(,,_ っ'っ
''""''"''' ''""''"''' '""''"''' '""''"''' '""''"''' '""''"''' '""''"'' '""
WWWwwwjij,,.、,、,,,vWWwjjwvjiiijwwiijijyyywWwWWjjwv,,.、,、,,,jiiijwwiijijyyviiijwiijijyw
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とにかくビルボは、2度目の朝ご飯を残し、ガンダルフの手に我が家の鍵を押しつけると
水の辺村まで一キロ半もの道を駆けとおしたのです。
- 163 :ヒツジのあぶり肉(前)07/34 :03/06/07 00:02 ID:htG1vmSG
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| 来ませんねぇ・・・どうしよう? │ │ 小馬の用意もしたのに・・・
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- 164 :ヒツジのあぶり肉(前)08/34 :03/06/07 00:03 ID:htG1vmSG
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ズサーーーーーッ
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| おお、11時ちょうど!でかした! . │
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- 165 :ヒツジのあぶり肉(前)09/34 :03/06/07 00:04 ID:htG1vmSG
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| 忍びの者も来たようじゃな。みな馬に乗れ!出発じゃ! │
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| あの、まことに残念なんですが、帽子もハンカチも忘れてきたんです。 |
| 置手紙に10時45分まで気付かなくて、財布を用意する暇すら・・・ |
\___________|\ __________________/
/ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
| それで結構!どうせ旅の終わり頃には、ハンカチなどどうでも良くなります。 |
| 旅装束でしたら、わたしの予備の頭巾をお貸ししますよ。 . |
- 166 :ヒツジのあぶり肉(前)10/34 :03/06/07 00:05 ID:htG1vmSG
こうして、一同はそろって旅に出たしだいなのです。5月になろうとする前の日の、晴れ渡った朝でした。
困ったことに、ドワーリンが貸してくれた深緑色の頭巾はビルボには少し大きすぎたのですが。
/ ̄> . < ̄\ . < ̄\ .
・・・・・ ( __| ∧>>> |__ ) ∧>>> |__ ) ∧>>>
< ̄\ ∧_ ミ・∀・ ;彡彡 ・ \ 彡 `ー´ミ彡 ・ \ ミ `∀´彡彡 ・ \
|__ )ミ ・_) ( ). /ヽ_) ( ) /ヽ_) ( ) /ヽ_)
〜(_,,っ| | Y ⌒ (__) ) Y ⌒ (__) ) Y ⌒ (__) )
Y  ̄ ) ヽ ___ | \ ヽ ___ | \ ヽ ___ | \
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- 167 :ヒツジのあぶり肉(前)11/34 :03/06/07 00:06 ID:htG1vmSG
ほどなく、ガンダルフが白馬にまたがって、堂々と現れました。
彼は、ビルボのハンカチをたくさんと、パイプにパイプ草を持ってきてくれたので
とりあえずビルボの心配事の一つは消えたのでした。
ヘ
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/;;,;;,⊃彡 ` \ < ̄\ < ̄\ .
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\__,,;;;.,,/ / / ̄> ∧_ ミ ・∀・彡彡 ・ \ 彡 `ー´ミ彡 ・ \
ミY⌒ ⌒ ∪ ) ( __| ミ ・_) ( ). /ヽ_) ( ) /ヽ_)
ヽ _____ | \ 〜(_,,っ| | Y ⌒ (__) ) Y ⌒ (__) )
|. || | .| > Y  ̄ ) ヽ ___ | \ ヽ ___ | \
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- 168 :ヒツジのあぶり肉(前)12/34 :03/06/07 00:07 ID:htG1vmSG
しばらくは良い日が続きました。一行はにぎやかに進みました。一日中馬に乗りながら、歌ったり話したり。
食事は、ビルボが好むほどたびたびではありませんでしたが、よくとりました。
|:: the Prancing Pony |
|:::: γ:: ::: :::: :: :|
|:::: γゝ:: ::: :::: # :: |
└―――――――――┘
┌┬┐
├┼┤
└┴┘ ∧_∧
U ∩ (´曲` ) ノト |
__ ∧∧_ ∧_∧ )_ ∧_∧ 彳ミ ノiミ
( ,,゚ー)日ミ∀` 彡∇ 彡`∀´ ミ 〇< ̄\ __,,.. .-‐ "~~""''' ‐- 彡彡ミ . 彡ミ..,,____
― (_,,)―-( )――( ) |__ ) ∧>>> 彡彡ミミ 彡;;;ミミ
┳━┳ (┳━┳ . (┳━┳ < ̄\ ∧_ ミ `Д´彡彡 ・ \ 彡彡ミミミミ彡彡ミミミ
┃ ┃ .┃ ┃ ┃ ┃ ( /ー゚) ミ ・_) ( ). /ヽ_) _ii| ii|
┃ ┃ .┃ ┃ ┃ ┃ 〜(_,,っ| | Y ⌒ (__) ) "''"''''''"''"''''''''"'''''""''"'''""''
Y  ̄ ) ヽ ___ | \ /⌒ヽ
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( ) ( |:| )
Y 人 Y 人
(_)ヽJ (_)ヽJ
道もよく、宿もありました。道の途中で気のいい農夫や旅人と出会ったりもしました。
そのうちビルボも、冒険もなかなか悪くないと思うようにさえなったのです。
- 169 :ヒツジのあぶり肉(前)13/34 :03/06/07 00:08 ID:htG1vmSG
しかしやがて一同は、人々がわからない言葉をしゃべり、聞いたことのない歌を話す土地に差し掛かりました。
宿も少なく、道も悪くなりました。そして五月も終わりというある日、急に五月晴れの空が曇って雨が降りだしました。
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!| !l |! ! !| !| ! |! l|! !| !| !l |! !| !|!l|! !| ! | ! !| !| ! |! l|! !| !| !l |! ! ザー | !|!l|! !| ! | ! !| !|
! |! l|! !| !| !l |! !| !|!l|! !| ! | !| !| ! |! ザー!| !l |! !| !|!l|! !| ! | ! !| !| ! |! l|! !| !| !l |! |!
!| !|!l|! !| ! ザー |! l| !| !|!l|! < ̄\ | ! l|! !| !| !l < ̄\| ! l|! !| !| !l | < ̄\ | ! l|! !| !| !l | l|! !| !|
!|!l|! !| ! | !| !| ! |! l|! !| ! |__ ) ∧>>>!|!l|! ! |__ ) ∧>>> |__ ) ∧>>> ザー !| !|!l|!
!|!l|! < ̄\ ∧_ !| !|!l| ミ ;・∀・彡彡 ・ \ 彡 ;`ー´ミ彡 ・ \! |! ! ミ ;`∀´彡彡 ・ \ !| !|!l|!
!l |! |__ )ミ ・_) ( ). /ヽ_) ( ) /ヽ_) ( ) /ヽ_)!|l|! ! !|
l|! !| 〜(_,,っ| | !| !| Y ⌒ (__) ) Y ⌒ (__) ) Y ⌒ (__) ) | !|!l|! !| ! | !
l|! ! Y  ̄ ) | ! ! ヽ ___ | \ !|!l|! ! ヽ ___ | \ | ! | ヽ ___ | \ | !|!l|! !| ! | !
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| 着物も荷物もびしょびしょだ!冒険も忍びの者も、くそくらえ! │
| ああ、家の暖炉の前にいられればよかったのに・・・ │
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- 170 :ヒツジのあぶり肉(前)14/34 :03/06/07 00:09 ID:htG1vmSG
日が暮れて暗くなり、やがて風が黒雲を吹き払って月が顔を出す頃、トーリンがここで野宿すると宣言しました。
旅の中ではじめての野宿です。いつかは野宿しなければならぬと覚悟はしていましたが、こんな雨降りの夜に
野宿しなければならないとはつらいものです。その上・・・
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\ :: ::: ::: ::: ::: ::: ::: ::: ::: ::: :::::: ::: : : : : : : : : : :γ'⌒`ヽ::: : :: : : :: :: : : : :
| ガンダルフはどこじゃ? | .. . . . . . . . . .l l. . . . . . . . . . . .
\ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\ . . . . . . . . ゝ、__.,ノ . . . . . . . . . . . .
 ̄ ̄ ̄|/ ̄ ̄ ̄ | そう言えばいませんね。いつの間に・・・ |::: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: ::
\__ ________________/
\|
〇< ̄\ / ̄> / ̄> / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄>
|__) ( __| ( __| ( ______|
∧∧ ミ `Д´彡 ミ´∀` ;彡 ―┴― 彡・∀・ ミ ミ  ̄∀ ̄ 彡
(,,゚-゚) ( ) ( つ //∴ヾ\ |__|⊂ ) ( )
〜(_,,) (__)_) (__)_) //丿/- |ヾヽ\ (_(__) (___ (____)
- 171 :ヒツジのあぶり肉(前)15/34 :03/06/07 00:09 ID:htG1vmSG
この夜は災難続きでした。まず、焚き火の火が起こせません(普通ならドワーフは火をつけるのがうまいのですが)。
さらに、小馬の1頭が突然騒いで逃げ出し、川にはまってしまいました。小馬を助けようとしてキーリとフィーリが
溺れかけました。小馬は助かったものの、その背中の荷物・・・よりによって食料でした・・・が流れてしまいました。
ヒオコシナラ ドワーフイチノモレガ ∫ / ̄>
ヒヲツケラレナイトハ・・・ ∫ ( __| ヒッシダナ アニジャ
< ̄\ ∫ ミ゚Д゚ 彡
○ |__) //∴ヾ\ ( )
と⌒つ;゚Д゚ミつ //丿/- |ヾヽ\ (_(__)
< ̄\
/∧ |__)
/ミ ヽ彡 ミ ;`∀´彡
| T ヽ彡 ( つ
,へ (__ /| ヽ し(__)
< ̄\ <>ヘ\ | \
lwjiwjjilwiwjiwjjilwiw |__) ,へ / .\ wwjklwjklwjkjlwjiwjjilwijkjlwjiwjjilwiwwjklwjjiwjjilwijk
('彡 T∀Tミ/) <>ヘ\( \ ┏━━┓
〜 〜 〜〜〜 〜〜〜 〜〜 〜〜 〜〜〜 〜〜
〜 〜〜 〜〜〜 〜〜 〜〜〜 〜〜
- 172 :ヒツジのあぶり肉(前)16/34 :03/06/07 00:10 ID:htG1vmSG
ルボが、冒険とは5月のうららかな日を浴びて旅するばかりではないのだと、悲しい気持ちで味わっていると
そのとき、いつも見張りをつとめるバーリンが何かを見つけました。
ゞ(⌒;;;ゝヾ;ヾ⌒;⌒) ;;;)ヾミゞ(⌒;;;ゝヾ;ヾ⌒;;;⌒) ;;;⌒)ヾミ;;(⌒::;ゝ;;;ゝ(⌒⌒(⌒;ゞ(⌒;;;ゝヾ;ヾ⌒
;;.ii!;;::,,、"";;,,;;,゛: |i!|il|!ll| .|i|| .|l||
il|!ll| Y ;;/,,"" |liiil|!i!|";"゛ノ)|;;.;;;;;::,,、"";;(;;;;;::::゛"" .|l||. ||i|";"゛ノ)|;;.;;;;;::,,、"";;(;;;;;::::゛""
.|lii!|ノ )`~...,,,,,,.....,,, |!!ilill|!l;; ゛ヾ;;::il|!ll| Y ;;/ ||i|;,゛ |il|;; ゛ヾ;;::il|!ll| Y ;;/
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il|!ll| Yii! .|!i!|il|ll| |,!((/(;;,,ヽノ ;;/,,"" .|ill |!i| |,!((/(;;,,ヽノ ;;/,,""
il|!ll| |!,ii |ill|il|!l) |i|!ll| `(~...,,,,,,.....,,,⌒) .|!i| .|ill| |i|!ll| `(~...,,,,,,.....,,,⌒)
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.|lii!| |ill| (il|!llli!i| ||!li!i| Yii! .|ill| |l|!| .|!lli!i| -*- Yii!
il|!ll| |l|!| |!!iill|!ll| ||liii!| |!,ii |l|!| |l|!| |!lli!i| | |!,ii
|!!iil|,,,,.., ,vv|Mvv(/"从ll|ノ( |il|!ll| < ̄\ vv|Mv vv|Mv , , |!lli!i|..,,..,. , ,,,,,.|ill| v
!ソ;ハj|W "" Vv,w,.vw,.v"ji,,Iw,,MW w,,Mv, |__) w,,Mv,w,.vw,
彡 ミ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
( ) < 向こうに、明かりが見えるぞ! |
(__(_). \______________/
見ると、少し離れた小山のふもと、その林の闇をこして、確かに明かりがともっているのが見えました。
- 173 :ヒツジのあぶり肉(前)17/34 :03/06/07 00:11 ID:htG1vmSG
明かりの方へ行くべきか?明かりを見たドワーフ達は二手に分かれて言い合いになりました。
ろくに食事もとらず、一番中濡れているよりはましだと言う者もいましたし
旅の途中でやたらに首を突っ込まなければ、災難にも会わずに済むと言う者もいました。
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
| 行ってみましょう!食べ物を分けてもらえるかも・・・ |
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∨ . / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
| いや、この辺は治安が悪い。明かりの主が悪人ということも・・・ |
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∨
< ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\ 〇< ̄\ < ̄\
|______) |__) |__)
ミ  ̄∀ ̄ 彡 ミ `Д´彡 彡;´∀`ミ ∧∧
( vv|Mv v◯v|Mv ◯w,.v"ji,,Iw,, ( ) ,,MW w,, (,,゚ー゚)
"" Vv,w,.vw,.v"ji,,Iw,,MW w,,M v,w,.vw,.vW "" V"ji,,Iw,,MW "" w,,Mv,w,.vw,
|\
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
| こんな時こそ魔法使いがいれば良いのに・・・ |
- 174 :ヒツジのあぶり肉(前)18/34 :03/06/07 00:17 ID:htG1vmSG
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
| 魔法使いはいなくなったけど、忍びの者がいるでしょう。 |
\__ ______________________/
∨ . / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
| おお、そうじゃった!確かにこれは忍びの者の仕事じゃな!. |
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< ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\ / ̄>〇 < ̄\
|______) ( __| |__) \从/
ミ  ̄∀ ̄ 彡 ミ`Д´ 彡 彡 ´∀`ミ ∧∧
( ⊃ |Mv v◯v|Mv ◯w,.v"ji,,Iw,, ( ) ,,MW w,, (゚д゚;)
"" Vv,w,.vw,.v"ji,,Iw,,MW w,,M v,w,.vw,.vW "" V"ji,,Iw,,MW "" w,,Mv,w,.vw,
- 175 :ヒツジのあぶり肉(前)19/34 :03/06/07 00:18 ID:htG1vmSG
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
| もし危険があって戻れないようなら、フクロウの鳴きまねをして |
| 穏やかにホウホウと二声、その後短く一声鳴くんじゃ。そうしたら . |
| できるだけ助けに行くからな。 |
\ /
 ̄ ̄ ̄|/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
〇< ̄\
|__)
ミ `Д´彡 ∧∧
( つ (゚-゚ ;)
(__)_) (_,,)〜
|\
/ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
| はあ・・・分かりました( フクロウの鳴きまねなんてやったことないけど) |
- 176 :ヒツジのあぶり肉(前)20/34 :03/06/07 00:19 ID:htG1vmSG
結局、ビルボはひとりで偵察に出ることになりました。
前にも言いましたが、ホビットは忍び歩きや素早い動きというものが得意な種族なので
特に忍びの訓練を受けていないビルボでも、ドワーフや人間よりよほど静かに動けるのです。
ゞヾ ,,.ゞヾ::ゞヾゞ:ヾ ゞ:.y.ノヾゞ..ヾ .ゞ,'ヾ ゞヾゞ ;ゞ
ゞヾゞ;ゞゞヾゞ;ゞiiiiii;;;;::::: イ.ヾゞ, .,; ゞヾゞ
ゞヾ ゞ;ゞ iiiiii;;;;;::::: :)_/ヽ,.ゞ:,,ヾゞヾゞ
ゞヾゞ;ゞ iiiiii;;;;::::: :|;:/ ヾ;ゞゞ;ゞ
ヾ;ゞゞヾ;ゞゞ |iiiiii;;;;::: : |:/
|iiiii;;;;;::::: ::|
,|i;iiiiiii;;;;;;::: :|
|ii,iiiiiii;;;;;;::: ::|
,|iiii;iiii;;;;:;_ _: :|
ピョコッ! |iiiiiii;;;;;;((,,,)::.::| ミ ヒョイ
∧∧ |iiiiiiii;;ii;;;;;;~~~:|∧∧
il| (,, ゚-゚)') |li ササササッ |iiiiii;iii;;;;i;;:: :::: (; ゚-゚)
jjrj从jrjwwjjrj从jr (_ |iii;;iiiii;::;:;;;;::: ::C ノ
jijwwj ε= = = = = = = = = c(,, |iMiiii;;ii:i;;:;i:i;;:::i;;|ゝ
,,MW w,,Mv,w,.vw,.v"ji,,Iw,,MW Vv,w,.vw,.v"ji,,Iw,,MW w,,Mv,w,.vw,.vW
- 177 :ヒツジのあぶり肉(前)21/34 :03/06/07 00:20 ID:htG1vmSG
誰の目にも触れることなく、その焚き火 ───そう、焚き火だったのです─── に近づいたビルボは
3人の大男が、激しい焚き火のまわりに腰をおろし、丸太にヒツジの肉を刺してあぶっているのを見ました。
iii;;;;:;_ _: :|
;;;;;((,,,)::.::|
;;ii;;;;;;~~~:|∧∧そ
i;;;;i;;:: :::: (; ゚0゚) て ∧_∧
i;::;:;;;;::: ::C ノ ( ´Д`)
;;ii:i;;:;i:i;;:::i;;|ゝ / \
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∧_∧ ヽ (( . ノ (´Д` )
( ´Д`) ) ) / /⌒ヽ
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| | /⌒|⌒|ヽ二二つ ) ) ⊂__/ |
ヽ二二Ο./ \ (( ( ノノ | | |___/
(_| |_| |_ \ ∴∵ / / (
.(__)__) //》||ヾミ\ (_(_ /
この大男たちは、トロルでした。ずっと家で暮らしていたビルボにもすぐ分かりました。
みにくい顔と大きな体といい、足のかっこうといい、間違いありません。おまけにその言葉遣いときたら・・・
- 178 :ヒツジのあぶり肉(前)22/34 :03/06/07 00:21 ID:htG1vmSG
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
| あー、きのうもヒツジ、きょうもヒツジ。. |
| あしたは、ヒツジはみたくねぇなぁ。おい。│
\ /
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\| ̄ ̄ ̄/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
| ヒトの肉は、なげぇこと食ってねぇな。おいウイリアム. |
| なんでおれらをこんなとこへつれてきたんだ? |
\ /
 ̄ ̄ ̄ ̄|/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
∧_∧
( ´Д`)
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∧_∧ ヽ (( . ノ (´Д` )
(#´Д`) ) ) / /⌒ヽ
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| | | \ (( (( |_|_/ / |
| | /⌒|⌒|ヽ二二つ ) ) ⊂__/ |
ヽ二二Ο./ \ (( ( ノノ | | |___/
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.(__)__) //》||ヾミ\ (_(_ /
|\
/ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
| ハァ?おめぇら、人間がおめーらに食われにわざわざここにくるかよ! |
| だいたい、てめーらが山をおりてから、 もう村一つ半は食ったじゃねぇか 。 |
| あんだけ食っといて、ありがとうくらい言えねぇのか ? |
\_______________________________/
- 179 :ヒツジのあぶり肉(前)23/34 :03/06/07 00:22 ID:htG1vmSG
いやはや、トロルというやつはおそろしいものです。こんな話を聞いたからには、ビルボはすぐ引き返し
腹を減らしたトロルが、ドワーフでも小馬でも食べたがっていると報告すべきでした。
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
| 物語に出てくるような凄腕の忍びのものなら、こんな時には │
| 敵からお宝をすり取るとか、暗殺するとかするんだよね・・・. |
\__________________________/
O
o ∧_∧
( ´Д`)
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|iiiiii;iii;;;;i;;:: :::: (; ゚-゚) | | /⌒|⌒|ヽ二二つ
|iii;;iiiii;::;:;;;;::: ::C ノ ヽ二二Ο./ \
|iMiiii;;ii:i;;:;i:i;;:::i;;|ゝ (_| |_| |_
MW Vv,w,.vw,.v"ji,,Iw,,MW w,,Mv,w,.vw,.vW .(__)__)
でも、読書家のビルボは、忍びの者の仕事について話だけはいろいろ知っていたので
そのまま手ぶらでトーリンたちの元に帰るのはしゃくだったのです。
- 180 :ヒツジのあぶり肉(前)24/34 :03/06/07 00:23 ID:htG1vmSG
とうとうビルボは決心して、そろりそろりとトロルに近づきました。ウイリアムと呼ばれていたトロルの
持っている財布───ビルボから見ればカバンくらいの大きさ───を盗み取ろうというのです。
∧_∧
( ´Д`)
/ \
. | | | \
ヽ~^/ | | /⌒|⌒|ヽ二二つ
= ヽ二二Ο./ \
∧∧ 〆 \ (_| |_| |_
(( 〜(⌒っ ゚ -゚)っ (..,__,,.) (__)__)
- 181 :ヒツジのあぶり肉(前)25/34 :03/06/07 00:24 ID:htG1vmSG
ところが、この財布がくせものでした。
∧
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\ (
| よし、あと少し・・・ | /
\_________/ | |
O ヽ~^/ | | /
o = ヽ二
∧∧ 〆 \ (
(( 〜(⌒っ ゚ -゚)っ (..,__,,.)
人人人人人人人人人人人人人
< ゴルァ!てめーは何者だ!? >
< ひとの財布になにしてんだ? >
Y`Y`Y`Y`Y`Y`Y`Y`Y`Y`Y`Y`
ヽ~^/
\从/ =
∧∧ Σ(゚Д゚..)\
(( 〜(⌒っ, ゚0゚)っ. (..,__,,.)
キャッ!!
- 182 :ヒツジのあぶり肉(前)26/34 :03/06/07 00:24 ID:htG1vmSG
∧_∧
(´Д` ) ・・・・・・
/ \
. | | | \
ヽ~^/ | | /⌒|⌒|ヽ二二つ
ア・・・・・ = ヽ二二Ο./ \
∧∧ 〆 \ (_| |_| |_
〜(⌒っ;゚0゚)っ(..,__,,.) (__)__)
※ウイリアムがビルボに興味を持ったようです
- 183 :ヒツジのあぶり肉(前)27/34 :03/06/07 00:25 ID:htG1vmSG
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
| つかまえた!こら、なんだおめー? │
\ /
 ̄ ̄ ̄\| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
∩ ζ ̄つ
\ヽ ノ r ζ ̄つ
.\\Λ_Λ ノ⌒ヽ ./ / //
.∧∧ ) (´Д` ) ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ \_/ ///
ヾ(゚д゚;ノシ⊃⊂二二二二二二_ノ─────´⌒~ヽ____ ノ_/
/|
\_WW/ |WWWWWWWWWWWWW/
≫ ≪
≫ いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! ≪
≫ ≪
/MMMMMMMMMMMMMMMMM、\
- 184 :ヒツジのあぶり肉(前)28/34 :03/06/07 00:26 ID:htG1vmSG
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
| なんだおめー?見かけねぇつらだな |
\ ./
 ̄ ̄ ̄ |/  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
/二\
| | ∧∧ r'⌒'〜'⌒'〜'⌒'〜'⌒'〜'⌒'〜'⌒'〜'⌒'〜'⌒ヽ
∧ ∧| | c(゚ロ゚ilin < は、はじめまして。ビルボ・バギンズです (
( ´Д`) | c(,,c,,)~ ) しのび、いや、ホビットです )
/⌒ / 丶〜'⌒'〜'⌒'〜'⌒'〜'⌒'〜'⌒'〜'⌒'〜'⌒'〜'´
//| |
< < / /
\| <
\ \\
|\
/ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
| ハァ?シノビット?そのシノビットがなんでおれのサイフをねらうんだ? |
\______________________________/
- 185 :ヒツジのあぶり肉(前)29/34 :03/06/07 00:26 ID:htG1vmSG
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
| なあウイリアム。そいつ、食えるかや? |
\ /
 ̄ ̄ ̄\| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
/二\
| | ∧∧ そ ∧_∧ ∧_∧
∧ ∧| | c(ili゚ロ゚) て (Д` ) (´Д` )___
( ´Д`) | c(,,c,,)~ ⊂二二二二二二 \ > ´ _ノ
/⌒ / \ \ / イ ̄ ̄
//| | \ 丶 / ,ヘ 〈
< < / / > ) / / \ \_
\| < / / / / / > ;
\ \\ / / / | | / __;、_
|\
/ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
| どうだろな、トムよ。 一口にもたりねぇんじゃねぇか ? |
| かわをはいでほねをとったら、なくなっちまわぁ |
\_________________________/
- 186 :ヒツジのあぶり肉(前)30/34 :03/06/07 00:27 ID:htG1vmSG
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
| いや、こいつのなかまがいっぱいいれば、あつめてパイをやけるぞ。 |
| おい、おめぇのなかまはこの森にいっぱいいるのか? |
\ __/
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
\从/
∧_∧ ∧_∧
( ´Д`) (´Д` )
_____/ /_ ソ⊂ニニニ二二 )
/ .__ ゛  ̄ ̄ ̄つ c( >0<)っ ヽ/ ノ|
/ / / /  ̄ ̄ ̄ '(っ,,ノっ / / /
⊂_/ / / . / / |
/ / / / | )
| | (_ノ | 人
/|
\_WW/ |WWWWWWWWWWWWW/
≫ ≪
≫ いたたたた!い、います! ≪
≫ たくさんいますよ! ≪
≫ ≪
/MMMMMMMMMMMMMMMMM、\
- 187 :ヒツジのあぶり肉(前)31/34 :03/06/07 00:28 ID:htG1vmSG
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
| あ・・・いや、いません。ひとりもいませんよ. |
\ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\| ̄ ̄ ̄ ̄ | いっぱいいて、ひとりもいない?なんだそりゃ
,、 \____ ________________
「~ヽ、∩ ノ└-ァ |/
\_ ノ ∧_∧ / / ̄ ∧_∧
\\ ( ´Д`) / / (´Д` )
ヽ.二⌒ ⌒二.ノ ソ⊂ニニニ二二 )
\ /´ c(゚д゚;)っ ヽ/ ノ|
〉 / '(っ,,ノっ / / /
/ < . / / |
/ ,、 \ / / | )
| / 丶 ) (_ノ | 人
|\
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
| おい、バートよ、そいつはおれがつかまえたんだぞ! |
\_________________________/
- 188 :ヒツジのあぶり肉(前)32/34 :03/06/07 00:29 ID:htG1vmSG
まずいことになりました。ビルボは、友達を裏切るまいと考えつく前に「仲間がいます」と言ってしまったので
あわてて「一人もいません」と言い直したのですが、トロルというやつは頭が悪いぶん
じぶんが知らないもの、分からないものについてはとてもうたぐり深いのです。
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
| おい、そいつはおれがつかまえたんだ! |
| かってにふりまわすんじゃねぇよ! |
\ /
 ̄ ̄ ̄|/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
/⌒\ ∧_∧
/ /\ (´Д`# )_
γ(m ) \ ヽ
ヽ ) | / 丿
| | | / /
| | |(⌒ヽ/| /⌒ヽ
| ∧ ∧ | | | |/ / \
( #´Д)/ | | \/\ \
ヽ ⌒ ̄ ノ\  ̄ ̄ ̄⌒ヽ
 ̄ ̄ ̄  ̄  ̄ ̄ ̄ ̄) |
|\ ( 丿
/ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
| いや、こいつの『いっぱいいて、ひとりもいない』ってのが |
| どういうことかきくまではだめだ! |
\_________________________/
- 189 :ヒツジのあぶり肉(前)33/34 :03/06/07 00:29 ID:htG1vmSG
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
| おまいら!すこしおちけつ! |
\ __/
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\| ̄ ̄ ̄ ̄
/// / /
/// / /
┌─┐ ∧_∧ / /
│ │ (´Д` ) / /
┥ ┝━━━━⊂二二二二_ \
(・) (・) | │ \ \
/⌒\\\\└─┘ ━┓┃┃ ━ ┃ \ (⌒ \
/ /\ ( Д )_─★ . ┃ ━━ ┃ \\ \ノ
γ(m ) \ ヽ ━┛ ━┛ \\ \
ヽ ) | / 丿 \\ \
| | | / / \|_/ )
| | |(⌒ヽ/| /⌒ヽ \/\
| ∧ ∧ | | | |/ / \
Σ ( ;´Д)/ | | \/\ \
ヽ ⌒ ̄ ノ\  ̄ ̄ ̄⌒ヽ
 ̄ ̄ ̄  ̄  ̄ ̄ ̄ ̄) |
( 丿
- 190 :ヒツジのあぶり肉(前)34/34 :03/06/07 00:31 ID:htG1vmSG
トロルたちは、かってにつかみあいの大喧嘩をはじめました。ほんとうならビルボはこのチャンスにこそ
逃げなければならなかったのですが、トロルに足を踏まれてしまい、焚き火の明かりが届かないところまで
這って逃げるのが精一杯です。
:((.,,);:'':;:| \\
.;:'':;:;,:;;| ナニシヤガル、トム!
:'':;:;,:;;:;:'':i
;;:;:'':;ヾ:;,:`ヽ、 ア、アシガ・・・ イヤ、オマイラヲオチツカセヨウト・・・
Vv,w,.vw,w,.vw,.v ∧∧ MW Vv,w,.vw,
c(゚0゚i|ic⌒)〜 )) ソンナンデオチツクカヴォケー!
//
さあ、いよいよ「冒険」らしくなってまいりました(そうか?)。ビルボは果たして助かるのでしょうか?
そして、報告を待っているドワーフたちの運命は?そもそもガンダルフはどこに行ったのか?