452 名前: 誰かAAにして 投稿日: 02/11/07 00:02 ID:Pwd00bin

      「青い人達の国」
     ―It's no use telling him such thing―


深い緑色の色をした森の中を、一台のモトラド(注・二輪車。空を飛ばない者だけを指す)が走っていた。
モトラドには一人の人間が乗っていた。
黒いジャケットを着て。腰を締めて、右腿にハンドパースエイダー(注・パースエイダーは銃器。この場合は拳銃)を吊った、モトラドの運転手だった・
年は十代の前半頃。短い黒髪に、大きな目と精悍な顔を持つ。鍔のある帽子をかぶって、ゴーグルをそこに載せていた。
「まだ? キノ」
モトラドが聞いた。
「あともう少しだよ、エルメス」
キノと呼ばれた運転手が答えた。
「一時間前にも同じ事を言った」
不平の声をもらしながらエルメスと呼ばれたモトラドは黙った。
道に落ちている石や木の枝を踏むたびにモトラドが上下する。
「すごい悪路だね、フレームがいたんじゃうよ」
エルメスが再び言った。
「旅には我慢が必要だよ、エルメス」
車体の振動を腿ではさんで押さえながらキノは言った。
風と砂がキノの髪を叩く。既に服は土やら砂でひどく汚れていた。
「次の国にシャワーがあったらいいな」
髪を抑えながらキノは言った。
「それとおいしい食事でしょ」
エルメスはキノに当るように言った。
「そうだね。」
キノは前方を見つめながら言った。
大きく、綺麗で文化的な城門を見ながら言った
「少なくともその心配は無さそうだね


457 名前: ( ´∀)・∀),,゚Д)さん 投稿日: 02/11/11 00:46 ID:5PyjhdU2
その大きさに似合わず、静かに城門が開いた。
中を覗くと兵士が駐留するための小屋と奥に門が見える。
その前でで小さな子供が数人と兵士と思われる大人と遊んでいた。
その兵士がこちらに気づいたらしくこちらに向かってくる
連射式パースエイダーを腰に吊って、武装していた。
「旅人さんですか、滞在ですか?移住ですか?」
人が良さそうな顔し、筒状の帽子をなおしながら丁寧に言った。
「滞在です」
キノもまた丁寧に言った。
「そうですか、ではどうぞ中にお入りください」
紺色のコートの下から手を出しながら、門を開けるレバーをおろした。
「滞在期間は申し上げなくて言いのですか?パースエイダーの所持の有無も」
キノは多少驚きながらも言った。
「かまいません、パースエイダーの所持を聞くのは旅人さんに失礼ですし、気に入ったらいつまでも滞在しても結構ですし、まぁその場合は移住の手続きをしてもらいたいけど」
兵士は朗らかに笑いながら言った。
「ありがとうございます」
「今度は良さそうな国だな・・・・・・・」
エルメスが誰にも聞こえないように言った。
「あ、そうそう旅人さん」
兵士はいきなりニヤニヤしだした、気を悪くさせることのない、人に「何があったの?いいことでもあったの?」と聞かれるような表情だ。
「実は我が国である本が流行ってるんですよ」
「本・・・ですか?」
「そうです!ちょっと前に六巻目が発売されたばっかなんですが、すごい人気なんです、
 一家に一冊ではなく一人一冊なほどです!なんたって我が国の人口数よりうれてるんですから」
両手を広げながら兵士は大きな声で言った。
「人口よりも!二冊買った人がいるって事じゃないか」
エルメスが驚きながら言った。
「そうですか、それは面白そうな本ですね」
「旅人さんも滞在中にごらんになってはいかがでしょうか?」
そういって黒いコートから六冊の本を取り出し、キノに手渡した。
本は綺麗で、折り目や汚れなども無く、本屋に並んでいる状態そのものだった。
表紙は緑がよく使われており、年は十代の後半頃の短い黒髪に、大きな目と精悍な顔を持ち、黒いジャケットを着て、鍔のある帽子をかぶって、ゴーグルをそこに載せていた少女が書かれている。
「ありがとうございます、楽しく読ませていただきます」
キノは丁寧に言った
「ええ、それでは我が国と本を楽しんでください・・・・・・・ところで」
兵士は顔を近づけてきた。
「なんでしょうか?」
「いえね、なんか旅人さん旅人さんってのもあれですし、名前を教えくださいますか?」
「ボクの名前はキノです」
キノは兵士の目を見ながら言った。
「そうですか、ありがとうございます、これからは旅人さんを迎えるときは名前くらいは聞くことにしますよ」
兵士はまた笑いながら言った。
「そうだね、そうしたほうがいいよ」
エンジンをかけながらエルメスが言った。
「それでは」
キノがハンドルを握りアクセルを踏んだ
「楽しんでくださいね、キノさん」
兵士は敬礼しながら言った


460 名前: ( ´∀)・∀),,゚Д)さん 投稿日: 02/11/15 00:48 ID:WZJs89NI
城門をくぐるとすぐに町が見えた。
遠くの方でかまどの煙が見えており、一見して平和な様子が見て取れた。
町並みは整然としており、街路にはゴミ一つ落ちていなかった。
「綺麗な所だね」
「建造物がすごくいい、町並みもだ」
二人が街の感想を話し合っていると、一人の男の子が近寄ってきた。
緑の帽子をかぶった、まだ幼い8歳くらいの子だ。
「ねーねー、お姉ちゃん達ってひょっとして旅人さん?」
首をこちらに向けて男の子は言ってきた。
「そうですよ」
キノはにっこりしながら言った。
その瞬間、とおりをだいぶ遅いペースで歩いていた人が押し寄せてきた。
「やっぱり!旅人さんだったか!」
「こんにちわ!この後の予定は決まってますか?」
「私達の国へようこそ!!」
それぞれいろんな歓迎の言葉をキノに送った。
「どこか安くて、シャワーがついてるホテルを紹介してくれませんか?」
キノが騒ぎが多少落ち着くのを待って言った。
「ああ、それなら・・・・・・ん?」
20代の男性がキノの左手をみて驚いたようだった
「やや!キノさん!それは我が国で流行っている×××××じゃないですか!?」
「何?なんだって?」
「×××××を!?」
男の言葉にあわせたようにまた騒ぎが大きくなった。
先ほどより人が増えており、全部で30人近くいた。


516 名前: 664 投稿日: 02/12/22 15:56 ID:Az5M8Hl0
とりあえずキノのそばにいた男からホテルの場所を聞いた。
さっそくエルメスとその場を逃げるように移動した
レンガが積み上げられて建てており、なかなかよい外見のアンティークなホテルだった
外見が木そっくりに作られたこれまた古風な鉄の扉をくぐりキノは中に入っていった。
オーナーにシャワーがついていて安い部屋を頼んだ。
旅人さんなら、ととりわけ豪華な部屋に案内され、代金はとんでもなく安く請求された。
「あー疲れた・・・・・・」
キノはさっそくふかふかで綺麗で豪華なベットに飛び込むように横になった
「この後どうするの?・・・・・・って聞くまでもないね」
エルメスがあきらめたように言った。
「いや・・・・・・まだ寝ないよ・・・・・・」
キノが今にも寝そうな声で言った。
「へ?じゃあどうするのさ?」
「せっかく本をもらったんだ、読んでみようじゃないか・・・・・・」
「六冊もある本を?」
エルメスが驚きながら聞いた。
「努力はするさ・・・・・・」
「ふーん」


「・・・やっぱりね」
ベッドの上には2巻の153ページを左手で押さえ、顔が五冊の本にうずもれているキノの姿があった。