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192 :AA物語特別編〜林檎〜:2005/09/19(月) 19:24:39 ID:cYJo+Spq0
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            | 療養所 |  ο     。    ゚  ο
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長い長い、シベリアの冬。

193 :AA物語特別編〜林檎〜:2005/09/19(月) 19:25:00 ID:cYJo+Spq0
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診療所の玄関でコートの雪を払う。
幾日も続けて習慣になってしまった仕草を、今日もショボーンビッチは繰り返すのでした。

194 :AA物語特別編〜林檎〜:2005/09/19(月) 19:25:24 ID:cYJo+Spq0


「毎日ご苦労さまだお」
     ..,,,,,,,,,,
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  ゞュ★ノノハ))ツ         ミ;;:;,. _,.;:゙ミ  「……あの、ナターシャさんは……」
  .`ハリ ^ω^ハ           (・ω・` )
 rッ'⌒L_゙╋'」)          ツィー=ニ彡
 `ー-''く___ゝ            lつ⊂ヽ〜
    (ノ゙J             u‐―u'



195 :AA物語特別編〜林檎〜:2005/09/19(月) 19:25:45 ID:cYJo+Spq0


  「・・・・・・・。」
     ..,,,,,,,,,,
   __[,|,,,+,,|]__          ,.:-一;:、
  ゞュ★ノノハ))ツ         ミ;;:;,. _,.;:゙ミ  「・・・・・・・。」
  .`ハリ;^ω^ハ           (・ω・` )
 rッ'⌒L_゙╋'」)          ツィー=ニ彡
 `ー-''く___ゝ            lつ⊂ヽ〜
    (ノ゙J             u‐―u'


白衣の女性の顔に浮かんだ表情を見ただけで、ショボーンビッチは答えを知るのでした。
ナターシャは昏(くら)い闇の中に自らを閉じこめてしまった。
闇の中で、我が子を守れなかった自分を責め続けているのだろうか。あるいは……

196 :AA物語特別編〜林檎〜:2005/09/19(月) 19:26:06 ID:cYJo+Spq0


「今は、まだ、だめだお……会ってもお話しはできないお」
     ..,,,,,,,,,,
   __[,|,,,+,,|]__          ,.:-一;:、
  ゞュ★ノノハ))ツ         ミ;;:;,. _,.;:゙ミ  「……そうですか」
  .`ハリ ^ω^ハ       ε= (-ω-`;)
 rッ'⌒L_゙╋'」)          ツィー=ニ彡
 `ー-''く___ゝ            lつ⊂ヽ〜
    (ノ゙J             u‐―u'


肩を落とし、溜息をつくショボーンビッチに、ナースは静かに語りました。

197 :AA物語特別編〜林檎〜:2005/09/19(月) 19:26:27 ID:cYJo+Spq0

「母親にとって、子供を失うというのはそれほどのことなんだと思うお。
 だって女は……10カ月も自分のお腹の中で命を育んで、
 苦しみの中からこの世に送り出す生き物。
 その子があんな死に方をしたら……仕方がないってわかって欲しいお」
     ..,,,,,,,,,,
   __[,|,,,+,,|]__          ,.:-一;:、
  ゞュ★ノノハ))ツ         ミ;;:;,. _,.;:゙ミ 「・・・・・・・。」
  .`ハリ;^ω^ハ           (・ω・` )
 rッ'⌒L_゙╋'」)          ツィー=ニ彡
 `ー-''く___ゝ            lつ⊂ヽ〜
    (ノ゙J             u‐―u'

ショボーンビッチは言葉なく頷きました。

198 :AA物語特別編〜林檎〜:2005/09/19(月) 19:26:48 ID:cYJo+Spq0

「今はナターシャさんの気が済むまで悲しませてあげるしかないと思うお。
 周りはナターシャさんが立ち上がろうとした時に、
 やっとそのお手伝いをできるんだと思うお」
     ..,,,,,,,,,,
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  ゞュ★ノノハ))ツ         ミ;;:;,. _,.;:゙ミ 「……わかりました。ありがとう」
  .`ハリ;^ω^ハ           (・ω・` )
 rッ'⌒L_゙╋'」)          ツィー=ニ彡
 `ー-''く___ゝ            lつ⊂ヽ〜
    (ノ゙J             u‐―u'



199 :AA物語特別編〜林檎〜:2005/09/19(月) 19:27:09 ID:cYJo+Spq0


「でもね、今日はちょっとだけいい具合だったお。
 おやつのりんごを少し食べてくれたお」
     ..,,,,,,,,,,
   __[,|,,,+,,|]__          ,.:-一;:、
  ゞュ★ノノハ))ツ         ミ;;:;,. _,.;:゙ミ (……りんご。ナターシャさんはりんごが好きだったな……)
  .`ハリ ^ω^ハ           (・ω・` )
 rッ'⌒L_゙╋'」)          ツィー=ニ彡
 `ー-''く___ゝ            lつ⊂ヽ〜
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200 :AA物語特別編〜林檎〜:2005/09/19(月) 19:27:31 ID:cYJo+Spq0
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ナースに挨拶をして、ショボーンビッチは診療所を後にしました。


201 :AA物語特別編〜林檎〜:2005/09/19(月) 19:27:52 ID:cYJo+Spq0
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頭上には満天の星。珍しく雪もなく、夜空はきんと冷たく晴れ渡っていました。

202 :AA物語特別編〜林檎〜:2005/09/19(月) 19:28:24 ID:cYJo+Spq0
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203 :AA物語特別編〜林檎〜:2005/09/19(月) 19:28:51 ID:cYJo+Spq0
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    ,.   "~,.;ハシミ^⌒:;.,〆   .:フ⌒ ^゛;;^‐
    `)、シ:ノノ_,._゙ミミミ ,ィ"   ..:;ィ⌒^,;::;::゛;:: ;. ..,
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トji ;:|:; ミ;;:;,. _,.;_,.;ミ      .:,ィ⌒^;::;::.゛゛:;.ヽ"
トji ;:| ,r(     )      ノ⌒^,、;; ;::゛゛ヽ
トji ;:| ツィー=π彡'つ   .::シ⌒.^, :;::   、
⌒ヽ〜'l    ノ |  ..::ル⌒.,.:: ;::  ;::^゛;  ^;;゛
;,〆 ,.;:;u‐‐‐u' ,, .ト
思い立ったように、ショボーンビッチは家とは反対の方向へ、歩き出しました。
森へ……ν速民の隠者が住まうあの森へと、ショボーンビッチは雪を踏みしめました。
(第二編 完)


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